
著者: 榎本 空 / 出版社: 晶文社 / 132mm×188mm / P240 / ソフトカバー
虐殺が続く世界の片隅で、静かにレコードに針を落とす。音楽に守られた日々の記録。
アメリカで神学と人類学を学び、自分のVOICEを探す日々の裏で、心の支えとなった音楽があった。ブルーズ、ジャズ、ロック、ソウル……いまも保持する愛着の深い音盤群と、ニューヨークで、ノースカロライナで、そして沖縄で出会った心やさしき人々との交流をもとに語る生活の記録。
ガザで、ウクライナで、シリアで虐殺が続くなか、音楽はシェルターとなりうるか?
若き神学・人類学者による、世界の片隅からの祈りにも似たメッセージ。
“わたしがレコードを聴いていたのも、結局は似たような理由からだったのだと思う。ときにあまりに残酷で醜悪な世界から身を隠すため。閉ざされた内密の空間で生を実験するため。歌ってみたり、踊ってみたり、もうひとつの世界を、ありえたかもしれない今を想像したりして。もちろんレコードは片面二十分足らずで終わってしまうのだけれど。そしたらまた針を落とせばいい。そうしている少しの間、この世界をかたわらへ寄せて、別の世界へ、あるいは別の惑星へ。”(「あとがき」より)