著者: 尹紫遠 、 宋恵媛 / 出版社: 琥珀書房 / 150mm×210mm / P320 / ペーパーバック
国籍なき日々の記録から難民の時代の生をたどって
金素雲訳編『朝鮮詩集』(岩波文庫)の解説者として世に知られる、朝鮮人作家、尹紫遠(ユンジャウォン、1911-1964)。1942年、朝鮮人初の短歌集を刊行した人物でありながら、戦後の歩みはこれまで注目されたこともなく、その存在は今ではほとんど忘れ去られている。
日本出身の妻と暮らした尹紫遠の戦後の日記には、「密航」・親族離散・朝鮮人差別・生活苦・文化交流、そして戦後日本で在日朝鮮人が「書く」営みの困難さを伝える断片的記述に満ちていた。様々な在日朝鮮の人たちの声を拾ってきた研究者の解読とともに、日記は豊かに「在日」の経験を現代に語りだす。